FTTH
Fiber To The Home(FTTH、エフティーティーエイチ)とは、光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込む、アクセス系光通信の網構成方式です。FTTP(Fiber To The Premises)とも言います(Premise:敷地)。すなわち、局設備から各ユーザー宅までのラストワンマイルにおいて光通信の伝送システムを構築し、広帯域(10M~100M~1G~bps)の常時接続サービスを主に提供するものです。アクセス系光通信サービスは、広帯域・定額の常時接続サービスを主に提供しますが、音声系サービス、映像配信サービスを併せて提供する場合もあります。これらをまとめてトリプルプレイサービスと呼称する事があります。なお、光通信分野における広義のFTTHは、光ファイバーを伝送路に使用したアクセス系通信システムの総称として、FTTxに示される網構成による物も含めます。狭義のFTTHは、一般個人宅へ直接引き込まれる網構成のみを言い、FTTxとは区別します。この項では主に、アクセスシステムのラストワンマイル(アクセス網)に関して記述します。
FTTH - 特徴
利点
■ADSLと比較して、中継局からの線路長が長くても伝送損失の影響が少なく、また幹線道路・鉄道・AMラジオ放送といったノイズ源からの干渉等の外部からの影響も受けません。それらを原因とした速度低下や切断(再トレーニング)も少なく、安定した通信が可能です。PON(後述)の種類にもよるが、おおよそ収容局から加入者宅までの距離は20km程度まで通信可能。■ユーザ向け商用サービスにおけるユーザエンドでの通信速度は、公称値(理論最大値)で100Mbps、実効速度で平均30Mbps(2006年現在)です。平均実効速度は、全ての都道府県においてADSLより速いですが、東京都50Mbps、沖縄県10Mbpsと地域によって差があります。日本では普及初期は公称10Mbpsの物が多かったですが、最近では公称1Gbpsを提供するものもあります。いずれにせよ、公称値だけ見るとWANでありながら、イーサネット(LAN)の速度と同レベルにあります。
■広帯域である事を生かして、波長分割による多チャンネルのケーブルテレビ(デジタルCATVを含む)の同時伝送や、安定したIP電話・IPテレビ電話等の多彩なサービスの提供が可能です。
■ADSLなどと比較して、上りと下りの速度がより対称的です。自宅サーバ運営など、個人が積極的に情報を発信する利用形態、特に大容量のデータをやりとりする環境では大きな利点となります。
FTTH - 欠点
■既存の通信網(電話線、ケーブルテレビなど)を利用するわけではなく、新規に光通信網を構築するため、サービスエリアの拡大には多大な費用が掛かります。そのため、提供されるエリアがある程度の人口がある市部に限定され、人口の少ない町・村や離島ではADSLですら提供されません。■光ケーブルそのものを直接引き込む必要があるため、工事に時間がかかります。
■各戸への光ケーブルの引き込みが考慮されていない設計が古いマンションやアパートなどの集合住宅やビルでは、各個宅への個別導入は難しいです。そのため、LAN配線、VDSLやFWAなどを利用します(FTTB)。
■2006年の段階で実用化されている光ケーブルは、屋内の配線での自由な取り回しが利きません。また、取り扱いに一定の知識・技術、専用の工具を要します。すなわち、利用者が自由に配置換えなどをすることができません。光ケーブルのスキルレス化が望まれています。
いわゆる「ブロードバンド」と呼ばれる接続方式で、ADSLが既存の電話線に高速なデータ信号を強引に乗せる(イメージ的には一般道に高性能レーシングカーを走らせる)方式であるのに対し、FTTHは初めから高速でデータ通信を行えるように新しく作られた、いわば高速道路を新規に敷設した、といったイメージです。
アクセス網の網構成方式
アクセス網のネットワーク構成として次のようなものがあります。
Single Star
中継局と加入者とを直接1本の光ケーブルで結ぶもの。伝送帯域を1つの加入者で占有でき、網構成も単純ですが、光ファイバーの延長距離が長くなり、中継局装置が多くなります。
Active Double Star
中継局からの1本の光ケーブルを能動素子で分岐させ加入者と結ぶもの。能動素子が分散設置されるため保守が煩雑となります。
Passive Double Star
中継局からの1本の光ケーブルを受動素子で分岐させ加入者と結ぶもの。分散設置されるのは受動素子のみなため保守が簡略化できます。
Passive Optical Network
PON(Passive Optical Network)は、シェアードアクセスとも呼ばれるPassive Double Star型のネットワーク構成です。光スプリッタ(光カプラ)と呼ばれる光受動素子で1本の光ケーブルを分岐させて、ケーブルの延長距離の短縮と、中継局装置の数の減少を図っています。次のような種類があります。
A-PON (ATM-PON)
ATM(Asynchronous Transfer Mode)をプロトコルとして用いたものです。
BPON (Broadband PON)
WDM(波長分割多重)を用いたものです。あるいはITU-T G.983シリーズで標準化されたATM-PONを指します。
E-PON (Ethernet-PON)
イーサネットをプロトコルとして用いたものです。
GE-PON (Gigabit Ethernet-PON)
ギガビットイーサネットをプロトコルとして用いたものです。特にIEEE 802.3ahとして標準化されたものを指すことが多いです。
G-PON (Gigabit PON)
ITU-T G.984シリーズで標準化されたPON。
今のところGE-PONを利用したサービスの多くは、各ユーザー側端末(端末装置)から、各ユーザーが共有している局終端装置(OLT:Optical Line Terminal)までの回線のスループットが、1Gbpsとなっているだけです。ユーザー側端末の最大通信速度は100Mbpsに制限されますが、それでもその部分の回線はバックボーンとしては広くなっているので、多くのユーザーが一斉に通信を始めても速度が低下しにくいというメリットはあります。また一部にはユーザ側端末スループットが1Gbpsとなっているサービスもありますが、いずれにせよOLTから先のコアネットワークまでのバックボーン回線が細いなど、そう簡単にユーザ端末側の公称速度通りのスループットは出ないのが実状です。
日本におけるFTTH
普及度
平成19年(2007年)12月現在、総務省の発表によると都道府県別の利用可能率では神奈川県がすべての世帯、東京および大阪府では99.9%の世帯とほとんどの都市部では90%以上の利用可能世帯比率を持っていると推計しています。全国平均では、82.6%と世界的に見ても非常に高い利用可能率を誇る。一方、普及率(実利用率)では、東京都で27.3%、滋賀県において25.3%、京都府では22.3%、全国平均では20%前後です。2008年4月18日の総務省の発表によれば、2008年3月末に、光回線利用世帯がADSL回線利用世帯を初めて超過し、光回線への移行が進展している。サービスエリアの拡大によって、ADSLからFTTHへ移行した利用者が増加したものと考えられます。サービス提供事業者
■NTT東日本・西日本:フレッツ・光■KDDI・ひかりone
■各電力会社系
・STNet:Pikara
・エネルギア・コミュニケーションズ(エネルギアコム):MEGA EGG
・沖縄通信ネットワーク (OTNet):ひかりふる
・九州通信ネットワーク (QTNet):BBIQ
・ケイ・オプティコム:eo光
・中部テレコミュニケーション:コミュファ
■ソフトバンクBB・Yahoo!:Yahoo! BB 光
■USEN